秋のお彼岸入りの深夜、ふと目が覚めた。
東北方位から、ごうごうと強い風が吹きつけている。まるで大きな鬼が怒りながら泣いているような、ものすごい音だ。
そうか、鬼門が開くのだなと気づく
秋分の日を中日として、前後3日間は秋のお彼岸だ。あちらの世界からこちらの世界を懐かしむ霊たちが、「フリーパスだからどんどん行こうじゃん!」と、わらわらこの世に押し寄せてくるボーナスウィークである。
目には見えないが、この期間、こちらの人口(霊口)密度は非常に高くなっていると思う。公園のベンチはぎっちぎち、ディズニーランドは満員御礼、風光明媚な温泉は芋洗い状態に違いない。
「やっぱりシャバはいいよなあ」
「生き返りますねえ」
打たせ湯を肩や背中に当てながらぼんやり大自然をながめる死霊やゾンビのつぶやきが聞こえるようだ。
あちらからこちらに自由に行き来できるなら、こちらからあちらへ行くのもたやすいはずだ。うっかりしていると迷い込む。丹田に力を込め、気を引き締めてこの1週間を過ごしたいと思う。
2009.09.20