運のクリーニング

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 物を捨てずにため込むいっぽうの家に流れる気は、どんよりして重苦しい。物をためることは、持ち主の残留思念をため込むことに等しいからだ。
 そういう家で暮らす人の精神状態もどんよりして重苦しくなる傾向がある。「過去」に取り巻かれて暮らしているせいである。  
 心がいつも明るくハレている人の家はスッキリしていて、気の流れがいい。家の容量を100とすると、せいぜい50〜60くらいしか物を置いていない。
 しかしゆううつや不安がひんぱんに頭をもたげる人の家にはたいてい90から100、あるいはそれ以上の物がぎゅう詰めにされている傾向がある。
 クローゼットの中には好きでもないのに買った(もらった)服やサイズが微妙に合わない服、流行遅れになった服など「絶対に着ない服」がたっぷり、押し入れには壊れた家電品や捨てるに捨てられない思い出の品がみっちり、本棚にはこれから先100%読まないであろう本や雑誌がぎっしり、ドレッサーの引き出しには古い化粧品や試供品が山積み、冷蔵庫にはいつ作ったかわからないおかずがどっさり。
 ほこりをかぶって色あせた物たちはすべて、昔の自分が引き寄せた「過去」であり、未来に向かう自分の足かせとなる。いらない過去を大事にとっておいても、いいことはほとんどない。 
 古い過去を切り離すことは心の重荷を取り払うことに等しく、それはつまり運のクリーニングにつながる。ディスククリーンナップとデフラグが必要なのは、パソコンに限らない。

2010.06.08