戌亥天中殺のみなさんへ その3


全国の戌亥天中殺のみなさんこんにちは。
わたくし本宇宙船のチーフCA、乾ヶ浜戌枇杷(けんがはま・いぬびわ)と申します。後ろにずらりと並んでおりますのは本船のCAチームでございます。一同礼。(全員深くおじぎ)。
大変長らくお待たせいたしました、これから船内ミーティングを始めます。みなさん年末でお忙しいとは存じますが船内ロビーにお集まりください。

はい気がつけば時代が令和に変わり早くも年の瀬、時のたつのは本当に早いものですね。戌亥天中殺のみなさんにおかれましてはますますご清栄のこととお慶び・・・あれっみなさん肩が落ち顔がげっそり青い、頬骨が浮いてまるで森と泉に囲まれたブルーシャトウにたたずむ貴婦人の幽霊のよう。
去年に引き続き今年はかなりの頻度で船が揺れましたものね、宇宙酔いになるのも当然です。ご希望の方には酔い止め薬、梅干し入り緑茶、黒コショウたっぷりのコンソメスープなどをお持ちしますので遠慮なくお近くのCAにお申し付けくださいませ。

本船が2018年2月4日に地球を飛び立ちましてから早2年弱、いかがでしょうみなさん大宇宙の旅をお楽しみいただいておりますでしょうか?
猛烈な勢いで飛来する宇宙ゴミの脅威下における人生トラブルの修復、煮ても焼いても食えない粗大ゴミのブラックホール投棄、話の通じない宇宙人との遭遇、さらにはおのれの精神世界に点在する八十八カ所霊場巡りなど各自ご多忙のことと思います。

しかしさすが「孤高の賢者」「切れ者」「精神の奇人もとい貴人」と誉れ高き方々、雨が降ろうが槍が降ろうが弱音も吐かずじっと我慢の子でございます。
もともと戌亥は「人を頼らない」「思い切りがよくダメなものはダメとスパッと割り切る」「一人の世界を重んじいかなるときもマイペース」「日常のささいなことからこの世の真理を悟る」「たまの楽しみはモンロワール」といった特徴をお持ちです。

例えば寅卯グループや申酉グループでしたら中身と外見が連結しているので「あ、調子悪いんだな」「落ち込んでるな」がひと目でわかりますがこちらの方々の場合は中身と外見が切り離されているので何を考えているのかよくわからない、いつもと変わらぬどこ吹く風でモナリザの微笑み、しかし心の中は前代未聞の豪雨、怒濤のハリケーン、情け無用の超極寒ブリザードということが少なくありません。
顔で笑って心で泣いて、心中お察し申します。

はいではこれから九星別に点呼を取ってまいりましょう、呼ばれた方は挙手願います。つらい方はそのまま道に倒れていてください。

★一白水星の方・・・遠い目でうっすら微笑んでいらっしゃいますね、戌亥名物「魂魄(こんぱく)遊離」でしょうか。
一白のみなさんは本来ならば今年は運気の波が春の海のようにおだやかだったはず、しかしここ大宇宙では非日常が日常を突き破ってしばしば次元が裏返ります。ひねもすのたりのたりかなとのんびりしていたら恋愛や友達関係で一発大波が到来し天地がひっくり返るほどの大騒ぎ勃発と。怒濤のうねりで人間関係が砕け散りましたと。
人間関係でトラブルが起こらない場合は金銭面でひと騒動あったかもしれません、お金には人の気が染みついていますから対人運と金運はあながち無関係ではないのです。人に好かれればお金に好かれ、お金に好かれれば人に好かれる、その逆も真なり。考えられる金銭トラブルはカードやペイペイ使いすぎて経済基盤が砕け散った、もしくはお金の貸し借りで仲良かった人との信頼関係が砕け散ったなどでしょうか。
今まで築き上げた基盤がこの2年間でもろくも崩れるということはその基盤そのものがバベルの塔であった、ゴッサムシティの摩天楼であった、歌舞伎町ホストクラブのシャンパンタワーであったということです。
いいのです崩れるものはさっさと崩れて一刻も早くゼロから立て直したほうがいい、ぐずぐず引き延ばす恋人はつき合う価値なし、心のひねくれた友達は別れて正解、お金の貸し借りはしないさせない関わらない、ポイントに目がくらむと使わなくていいお金を使って結局損をする、これらのことがわかっただけでも幸いでした。
人間関係は去る者は追わず、寂しくたって死ぬわけじゃありませんから放っておきましょう、縁があればそのうち戻ってきます。ただしお金が去ると人生が立ちゆかなくなる、武士だって食わねば力が入らない、最終的に入り用なのは友の慰めよりお金です。ここでいうお金とはカードのことではなく現金です。いつの時代も強いのは現金持ち、派手にカードを切るより地味にお金を貯めましょう。

★二黒土星の方、・・・お返事がありません。ああ船外に設置された超巨大ジェットコースターをお楽しみ中のようですね、お疲れさまです。長島スパーランドのスチールドラゴンや富士急ハイランドの新ドドドンパを軽く超える最恐絶叫マシンですのに、なぜか悲鳴ひとつ上がっておりません。これが申酉グループでしたら阿鼻叫喚の泣き叫びや金切り声が宇宙空間にけたたましく響き渡るのですが戌亥の場合は驚くほど静か、ときたま観音経や般若心経がかすかに漏れ聞こえるくらいです。
例えますならば戌亥の身体は洗濯機、心は洗濯物。脱水時に洗濯槽がどんなに勢いよくぶんぶん回転し揺さぶられようとも中身の洗濯物はただただ静かにされるがまま、体内から余分な水分が抜けるまで「日々是自然体」「なりゆくままに」「放っときゃいいじゃん」と冷静なのでございます。深刻な悩みもどこか人ごと、戌亥は自分を俯瞰できるのですね。そこらへんが凡人と異なるところ、いついかなる場合も外より内、皮より具を重視し、「人間とは何か」「幸せとは何か」「京王線新宿駅から高島屋までの最短ルートは?」など常にあれこれ思いを巡らせているのでございます。
二黒のみなさんはこのところ山あり谷ありのスリリングな日々を送っていらっしゃると思います、ええいいのですそれで。急勾配のレールの上を急上昇&急降下&超高速トルネード&問答無用の連続スピンを繰り返しながら猛スピードで疾走することで遠心分離作用が働き、余計なものが振り落とされ除去されてまいります。その結果過去10年間に溜まった心の垢や因縁が浄化され、身も心もすっきり軽くなるわけです。
つまるところ天中殺とは神の恩寵、神の庭に設置されたハイスペック絶叫マシンによる六根清浄。感謝を持って残りの日々も励んでまいりましょう。

★三碧木星の方、全身からにじみ出る波動がトランプ大統領のサインのようにトゲトゲしていますね、かなりストレスが溜まっているのでしょう。ここ大宇宙は地球とまったく環境が異なります、閉塞感があって思うように身体が動かないわほしいものはなかなか手に入らないわ360度ぐるりと張り巡らされた窓ガラスに映るのはただおのれの姿のみだわのシビアな世界です。
地球なら大地に癒やされ吹く風に癒やされ森に癒やされ海に癒やされて気分転換できるのですがここは宇宙、木火土金水何もない、宇宙を構成するダークマター=暗黒物質のヘンテコな圧に押されてストレスは溜まる一方です。
ストレスが溜まるとイライラもしくは鬱々が生じます、三碧の場合は陽性なのでストレスが外に向かいやすい、つまりイライラから来る対人面での衝突が多くなりがちです。「それってどういうことですか」「納得しかねます」「意味がわかりません」、言っちゃいけない相手に思ったことをそのままズバッと言うとどうなるか、はい「生意気」「礼儀知らず」「規格外」の烙印を押されて立場が不安定になります。
またプライベートでも「ずっと昔から同じコート着てるでしょう体型変わらなくていいなあ」「納豆包んでる藁(わら)みたいな髪色だね」「彼氏さん初めましてわたしミッコの親友です、ミッコ、この人前よりまともそうだねいやあ先代の彼氏はひどかったー」などとうっかり口にするのは御法度ですたとえ真実であってもです。口は災いの元、天中殺期間中は言いたいことを言う前に深呼吸して自分に待ったをかけましょう。イライラするときは部屋の掃除、特に床磨きやガラス窓磨き、ドアノブ磨きなどに集中すると驚くほどピカピカになりますのでぜひお試しください。

★四緑木星の方、ああがっくりうなだれて。お辛いですか? 戌亥の中でも猛烈にデリケート、まるでバカラのクリスタルガラスのようにみなさんは繊細です。ふだんはさわやかな笑顔の中に本心を秘めておられますがさすがにここ大宇宙では隠しきれない、内なる苦悩が重く胃に溜まってひどい猫背、くの字型に曲がっちゃってます。
心は器に入りますからまずはへそ下の丹田を締め、背骨を立ててまっすぐ伸ばし、左右の両肩を大きく開きましょう。そして深く深呼吸。うなだれるから肺も心もしぼんでしまう、顔を持ち上げれば肺も心も丸みを帯びて希望がふっくら湧いてまいります。
苦悩が大きすぎると誰かに頼りたくなる、すがれるものなら誰彼かまわずすがりたくなるのが人というものですが、戌亥グループはそれができません。なぜならみなさんは唯我独尊の星、「身内に頼ってもたいした応援は期待できない」「人に頼っても時間の無駄」「自分のことは自分で解決しないと身にならない」という真実を生まれながらに悟っておられるからです。
人間の初期設定は孤独、親子だろうが魂は別個、だから一人で考え一人で解決しながら懸命に生きていく。戌亥のひたむきに生きる姿はまるで修行僧のようにきりりと潔く、見る者の胸を打つのです。おのれをおのれで鍛えて内側から発する光の純度を高め、やがては周囲の希望の星、憧れの星になるのがみなさんの宿命です。
戌亥のみなさんが持つ精神エネルギーは強大ですので、いたずらに人を当てにしたり頼ろうとすると燃焼すべきエネルギーが不完全燃焼して地球に戻ってから運気が落ちやすくなるのでお気をつけください。
「困ったときは自分に頼る、それでもダメなら神仏に頼る」「胃が重いときは消化のいいものを食べる」。この言葉をしっかり心に刻まれますように。

★五黄土星の方、はいひと山越えたあとの味わい深いお顔ですね。
険しい冬山を越えてようやく人里にたどり着いたようなヌケ感のあるお顔でございます。鼻の頭や指先などところどころ凍傷で黒くなっておりますけども、地球に戻れば元通り再生するでしょう。ここに至るまでよく頑張りました、さすが「山椒は小粒でピリリと辛い」「涼しい顔してド根性」「ピョコン ペタン ピッタンコ」の異名を取る戌亥の五黄、みなさんの辞書に「つらい」「しんどい」「何もかも放り投げてバリとかハワイとかでのんびりしたい」の文字はありません。
人生とは 重い荷を背負って山道を登るがごとし、はい悟りを得た五黄ならではの発言おみそれいたしました。そうですね宇宙だろうが地球だろうがこの世はすべて修行道場、富士山地獄の特訓場、情け無用のブートキャンプなのでございます入隊おめでとうトレイニー諸君。
甘えや泣きごとを言わずここでの訓練に耐え、身につけた経験と実績を武器に宇宙と地球を股にかけこれからもしぶとく生きていくであろう硬派のみなさんにわたくしから申し上げることは何もありません。あなた方は世間の泥川をすいすい泳ぎ抜く強靱な精神力と実戦スキルをお持ち・・・おっとひとつだけ注意点がございます。
はい運の強い方の場合天中殺現象が身内にスライドする、つまり家族の誰かもしくはペット、植木などがとばっちりを食らうことがありますのでお気をつけください。自分はなんともないけどもしかすると家族に飛び火したかもと思い当たる場合は「自分の業を背負ってくれた」と考え、今まで以上に感謝の気持ちで接してあげましょう。

★六白金星の方、みなさんお洋服のファスナーが開きっぱ、ボタンもちゃんと止まってない、なんかヘン、しっかり者の六白なのに中身と外見がちぐはぐ、たぶん理想と現実が噛み合ってないのでしょう。
戌亥の六白は本来おのれの頭に装着した竿にぶら下げたニンジンを追い求めて突っ走る生きもの、だから「ここまでやればもういいや」という到達点、満足点がありません。常にそのときそのときの最上限を求めて坂道を上り続ける機関車やえもんでありトーマス、人一倍志が高くパワーもあるので調子のいいときは八面六臂の活躍を見せますが、いったん燃料が切れると気持ちに身体が追いつかず「こんなことではダメだ」「自分は甘ったれの根性なし」「気力と根性が全然足りない」「ホントはぽくぽく系が好きなのになぜねっとり系の芋を買ったのだろう」など自分を責めさいなむ傾向がございます。過剰な攻撃が自分に向かうと免疫寛容が破綻して体調を崩すことがあるのでご注意ください。
ここ無重力の宇宙においては身体の動きが制限されて思うように動けません、下手にもがくとくるっと裏目が出ます、なので頑張りすぎないことです。できない自分を責めさいなむのではなく「宇宙では理想通りに行動できないのが当たり前」「その理想が叶ったとして、本当に幸せになれるだろうか」「自分は世間一般の幸せの概念に縛られているのでは」などと自分に問いかけ、考えを改める柔軟さと自分を許す寛容さも必要かと存じます。
ファスナーを無理に引き上げたりボタンホールに合わないボタンをはめる必要はない、地球に帰還してしばらくすれば自分にぴったりフィットする新しい服が手に入るでしょう、それまでもうしばらくの辛抱です。「自分はこの服を着なければいけない」「ちゃんと着られなければ失格」などという考えにとらわれず、自分に似合うのは本当はどんな服なのか、じっくり鏡を見つめながらイメージなさってみてください。

★七赤金星の方、つば広の黒い女優帽に黒のロングコート、まるで女囚さそりに出てくる梶芽衣子みたいですね。さすが戌亥の七赤はおしゃれ上手で格好いい、常人離れした妖しい魅力が満載です。この宇宙でもさぞやおモテに・・・あっ「恨み節」を口ずさんでる、「にくい くやしい ゆるせない」ですか凄みがあって絵になるなあ。
はい今年のみなさんのテーマは「信頼ってなあに」でした。頭を悩ませていた一連の事件やアクシデントは、人から信用されるにはどんなことに気をつければいいか天から試されていたのです。
戌亥の七赤は本来世知に長け、おおらかでこなれてて垢抜けてるので同性異性問わずたくさんの人から慕われます、しかしここ宇宙では長所が短所に裏返りやすい、おおらかさはアバウトさに、こなれてる感はいい加減感に、垢抜けたセンスは「変わってる」に転じやすいのです。結果「口と腹が違う」「誠意がない」「浮きすぎて肌なじみが悪い」などと言われ、人が離れてしまったのではないでしょうか。
何年もかけてコツコツ築いた信用も崩れるときは一瞬、再び構築するにはかなり時間がかかります。「裏切りやがって」「手のひら返しやがって」「あてにしてたのに」と再び恨み節に戻っちゃいけません、それ逆恨みです。人を恨む前にまず自分を反省しましょう。ではここで一から出直すためのコツを3つお教えいたします。
ひとつめ、時間と約束を守る。特に仕事は先んずれば人を制す、お得意さんから13時と言われたらランチをはしょってでも12時50分には待ち合わせ場所に到着しましょう。ふたつめ、人の悪口を言わない。人の悪口言ってるときの自分の顔を鏡で見てみましょう、そういう顔の人を信用できますか? みっつめ、すぐに見破られるウソをつかない。本気でつくウソはバレませんがその場しのぎのウソはバレる、相手は同調したふりをしても陰で「あの人は信用できない」とささやかれることになります。
以上3点を心に留め置き、来たる2020年は恨み節より東京五輪音頭を景気よく歌い踊りながら明るく楽しくまわりの人たちとコツコツ信頼関係を築いてまいりましょう。

★八白土星の方、ちょっと息苦しそうですね、イモータンジョーのマスクの中、白鵬のまわしの結び目、恭子お姉さまのドレスの胸元に押し込められたようなご気分ですか? では船内の酸素率を少し上げましょう、クールダウン用の首かけ扇風機が必要でしたら遠慮なくお申し出ください。
はい落ち着きましたか、八白はこのところ閉塞感と重圧感で息もできない状態でしたものね、休みたくても休めない、逃げたくても逃げられない、まるでコンビニの店長や中間管理職のような状況がずっと続いておりました。そんなきっつい環境でよくここまで頑張ってきましたね、さすがは戌亥の八白、泣き言を言わず石の上にも三年でございます。
世間には「置かれた場所で咲きなさい」という考え方と「吉方位に逃げなさい」という考え方がありますが、時と場合によります。ここ宇宙での推奨は前者、宇宙に方位はないからです。たとえ逃げてもいつの間にかこの船内に戻ってしまう、ならば無駄なことはせずのんびりキューピーに着せる服を編んだり山のようにたまったポイントカードを1枚1枚カードホルダーに入れて整理するほうがましというものです。
逃げの引っ越し転職投資ギャンブル結婚恋人のお取り替え巌流島の決闘など思い切った大仕事は地球に戻ってからにいたしましょう、狭苦しくても窮屈でも配置された場所でそのまま踏ん張ることで逆にあなたを閉じ込めていた縛りがひとつずつ外れていくのです。
みなさんには宇宙旅行特別記念品といたしまして「忍耐」「我慢」「辛抱」と極太の筆文字で刻印された飯椀、扇子、巾着財布、木刀などをご用意させていただきました。のちほどCAがワゴンを押してまいりますのでお好きなものをお選びください。

★九紫火星の方、あれっお姿が見えませんもしかすると船の底に潜り込んでいらっしゃるのでは・・・はい大当たり、全員「失意のどん底」で倒れていらっしゃいますだだっ広い岩盤浴で雑魚寝してるみたいですね。
いいとこまで行っては足もとがガラガラ崩れ、今度こそはと思って力をふり絞ってもなぜか元の木阿弥、天は我に味方せず、わたし何も悪いことしてないのにどうしてこんな目に遭うの、努力してるのにひとつもいいことないじゃない。
天を恨んで地下に潜りたくなるそのお気持ち、わかります。たしかに人生には頑張りがなかなか実らないときがございます、時の運が味方していないのですね。しかしそこでいじけてすねて腐ったら負け、志も誇りも高い戌亥の九紫の名がすたります。
さあ目いっぱい脱力したらそろそろ立ち上がりましょう、そしてこれから開運の努力です。運はいざというとき身を助く、同じ実力なら運の強い方が必ず勝ちますからね。
運には3つの種類があります、時の運、人の運、そして天の運です。
ひとつめ、時の運を味方につける最も簡単な方法は暦を活用することです。暦とは大自然のバイオリズムを示す書、四季折々の行事を楽しんだり「今日は○○の日」と自覚しながら暮らすことで大きな流れに乗れ、ズレたタイミングが修正されます。
人の運を味方につけるには人の気持ちを思いやることです。自分がされていやなことは人にもしない、されてうれしいことは人にもしてあげる。この積み重ねで徐々に「人気」を身体にまとえるようになります。
天の運を味方につけるには神さま仏さまに好かれるよう努力することです。自分を生かし見守ってくれる見えない存在に頭を下げ手を合わせる。そういうのよくわかんないという人はまめに家を掃除するだけでもいいでしょう、身辺がきれいになると心がきれいになって人から好かれやすいうえ神仏からも応援されやすくなります。
そうやって天、人、地(時)3つの運を味方につけることができれば自然に身体が奈落の底からふわっと持ち上がり、上昇気流に乗れるようになります。

はい少し長くなりました、静かに寝息を立てておられる方もいらっしゃいますね、いえいいのですそのままにしておきましょう、2年近くの長旅で疲れていらっしゃるでしょうから。宇宙は地球と環境が異なりますので気力と体力が消耗しやすいのです。
地球に戻ったらまた切磋琢磨の日々が待っています、それまではしばし船内でご自由におくつろぎください。

窓の外に地球が見えます、万華鏡のようにキラキラ光っておりますね。あの青い輝きは地球が生きていることの証(あかし)、光の破片をどんどんズームアップしていくと一人ひとりの人生が見えてまいります。みんな一生懸命頑張ってそれぞれの命を燃やしていらっしゃる、人が生きる姿というのはそのとき歩いているのが山であろうと谷であろうと俯瞰して見るとすべてひっくるめて美しいのです。

生きるということは時間を与えられるということです。それまで無であった魂に光が当たり「生きてごらん」と持ち時間が与えられる。
持ち時間は人によって異なりますが、ただ長ければいいというわけではありません。肝心なのは時間の長さ=量より質、いかにたくさん体験を積んだか、喜怒哀楽を味わったか、脳と心をぐねぐねこねくり回したか、真実を悟れたか、どれだけ人の役に立ったかが問われるのでございます。
最後の最後に「ありがとう」が内面から自然に出てくるならばそれまでどんなにつらかったとしてもその人生は生きる価値があったといえますし、もし誰かから「ありがとう」と言ってもらえたならその人生は十分に有意義であったといえるでしょう。

人間の一生ははかないもの、10代20代30代のころは人生は永遠に思えますが40代50代になると何となく先が見えてくる、60代に入ると死が山を越えて近づいてまいります。しかし戌亥のみなさんの場合はそこからが本番、なぜならみなさんは人生後半でじっくり咲く花であり、「ここからこんなにきれいに咲けるんだ」「味わい深い花だなあ」と見る人たちに希望と勇気と感動を与える使命をお持ちだからです。
今が絶不調というのはこれから絶好調に移り変わるサインです。どうぞ自信をお持ちになり、夢多き人生を歩まれますように。

・・・はい、こんな感じです。
みなさんお腹空きましたか、クリスマスはスペシャルメニューのバイキングを用意しております、お飲み物や各種ケーキも食べ放題、ディナーショータイムはCA有志によります皿回しや空中アクロバットなどの上海雑技、ゴスペルミュージカル、アルゼンチンタンゴ、インド大魔術、心鎮まるレース編み教室などを予定しております。みなさまお誘い合わせのうえふるってご参加ください。

業務連絡です。客室乗務員はドアモードがアームドになっているか今一度確認してください。
それではみなさん、引き続き安全で快適な空の旅をお楽しみください。
地球帰還は2020年2月3日を予定しておりますが、お抱えの案件によっては突然の大揺れも予想されます。お席をお立ちになるとき以外は念のため腰の低い位置でシートベルトをお締めください。

Good Luck、Thank You。
すてきな年末年始をお迎えください。よい旅を。