子丑天中殺のみなさんへ その3


全国の子丑天中殺のみなさんこんにちは。わたくし宇宙船子丑号のチーフCA、子々山丑華(ねねやま・うしか)でございます。後ろにずらりと控えておりますのは子丑号のCAチーム、一同礼(深くおじぎ)。

前回のミーティングから約半年たちました、みなさん調子はいかがですか。
コロナ騒動はちっとも収束せずフラストレーションは溜まるいっぽう、マスクは鬱陶しいわ初夏なのにどこにも行けないわ何これ去年から何も変わってないじゃんということで思わず中森明菜の「いい加減にしてぇ〜」を力強く歌う方もいらっしゃることでしょう。

思えば自粛が始まったのは約1年前、はいみなさんが宇宙船に乗って宇宙旅行をスタートしたあたりですね。十二支のスタート地点である子年に地球規模のトラブルが起こるのには何かしら意味がある、といっても別に地球絶滅の危機が訪れるわけじゃない、時代が大きく変わろうとしているのですね。変化は「トラブル」の仮面をかぶって現れるのが常なのです。

テレビやスマホではひっきりなしに「感染したら死ぬかも」「生き残っても後遺症が残るかも」「ウイルス変異で致死率が上がってます」などの情報を流し続けていますが、これに足を引っ張られて右往左往するか、変わらず自分の道を歩くか、私たち一人ひとりがいま試されていると申し上げてよいでしょう。

幸いにして本船にお乗りのみなさんはここ宇宙から地球のありさまを冷静に観察できます、身体は地球にありましても魂は地球外にありますから。
人一倍頭の回転がキレッキレの子丑グループのみなさんはここから地球を見て「世の中は全然公平じゃないな」「社会は権力と金で回ってるな」「テレビは不安装置だな」「人の器は追い詰められたときに露呈するな」「結局先のことは誰にもわからないのだな」「これもう戦時下だな」「いやな渡世だなあ(座頭市)」などなど重要なことに気づかれたことでしょう。

現世は煩悩だらけ、煩悩地獄のそこかしこに埋められた地雷を除けながら明るく楽しくバランスよく生きるには知恵という名の蜘蛛の糸が必要です。残り約8カ月のこの大宇宙の旅、みなさんが1本でも多く蜘蛛の糸をゲットされますよう、CA一同心よりお祈り申し上げます(おじぎ)。

ではここで九星別に点呼を取り、今後の課題をお伝えしてまいりましょう。呼ばれた方は挙手お願いします、ただし船酔いでご気分のすぐれない場合はそのまま床に倒れていてかまいません。

★一白水星の方、みなさんしきりに目をこすったりメガネを拭いておられます、たぶん現実と理想がズレて二重三重にぼやけているのでしょう。これ違う受け止められないこんなはずじゃないと否定なさりたいのですねお気持ちよーくわかります。しかし現実は現実、ありのままを素直に受け止められないのは認知がゆがんでいるせいかもしれません、人は元来見たいものしか見ようとしませんから。
はっきり申し上げましょう、世の中はあなたが最も見たくないもの信じたくないことが真実であることが多いです。
「絶対こうあるべき」「こうでなくちゃいけない」とかぶりを振っていつまでも目をそらしていると現実と衝突して痛手を負うことになります。日常的に「いや」「でも」「だって」「だけど」をよく使うならおのれの欲が斜眼帯となり視野狭窄になっている可能性があります。
よろしいですか目をしっかり開けて現実をご覧ください、そして受け止めてください。え、無理? では最強の悟り呪文をお教えしましょう、「世の中ってそういうもの」「生きていれば色々あるさ」「まあいいか」「仕方ない」「それならそれでOK、自分は自分の道を行くだけ」。つぶやいた瞬間目のピントが合い、同時にハラが据わってまいりますのでぜひお試しください。

★二黒土星の方、ああどうぞそのまま床に倒れていてください、無理に立ち上がらなくてけっこうです。「もう生きていたくない」「このまま静かに消えちゃいたい」「こんなことなら生まれてこなきゃよかった」、そんなせつない声が聞こえてまいります。
起き上がる気力も体力もないときにつける薬はありません、頑張って息を吸って吐いて吸って吐いて時が過ぎるのをひたすら待つだけです。
辛さをしのぐコツは「回復したら○○をしよう」と心の隅に小さな希望を持つことです、ルミネでコスメ買おうでもイルミナカラーで髪染めてみようでもホットケーキ焼いて生クリームたっぷり乗せようでも何でもかまいません。目の前にニンジンをぶら下げると人は底力が湧くのです。
みなさんの今後の課題は底力を出して強くなることです。はいあなたが思っているほどあなたは弱くありません、子丑の二黒は辛いことを経験するほど心にしなやかな筋肉がついてまいります。弓偏にカタカナのムに虫と書いて強い、もともとは甲羅の固い虫のことでした。つらいときは丸まりましょう、柔らかいお腹を内側に丸めれば背中側は固い、つまり強い、そのまま賽の河原をごろごろ転がって、やがて明かりの灯る人里に出たらニンジンめがけて一気に走り出しましょう。

★三碧木星の方、はい。こちらはややお元気ですね。どん底の2020年を抜けて2021年はやや持ち直しましたもののまだ本調子ではございません、風邪の治りかけのような状態ですので無理は禁物です。
風邪といえば昨今流行中のコロナ、コロナはただの風邪という説もあれば恐ろしい伝染病という説もある、発言者の立場によってここまで意見が異なる病気も珍しいですね。騒がれているわりには発症者数はインフルエンザに比べごくわずか、切り札のワクチンは安全性が今ひとつ未知、庶民はいったい何を信じればいいのかよくわからず右往左往しているのが現状ではないでしょうか。
コロナで身体が害されるのもいやですがもっといやなのは心が害されること、不安や恐れや同調圧力がかかると心はどんどん固く縮んでまいりますこれを萎縮と申します。萎縮して固まった心は転がりやすいので簡単に誘導されたりちょっとした刺激でヒビが入りやすくなります。
宇宙旅行中のみなさんは地球の同調圧力から逃れられて幸いでした。本船の窓から見えますでしょうか、地球上でビー玉と化した心の群れがあっちコロコロこっちコロコロ転がっているさまを。ビー玉に足をすくわれて転んでいる人たちもたくさんいます。
みなさんの課題は周囲に流されないしなやかな心を保つことです。初期値の自分を取り戻したいときは、おいしいものをたらふく食べてたっぷり歩いてお風呂にじっくり浸かってぐっすり眠るといいでしょう。

★四緑木星の方、ああうつむいて懸命に何か書いていらっしゃる。ええとどれどれ「時代が悪い」「社会が悪い」「あいつが悪い」「こんな女に誰がした」「注文したラーメン早く持ってこい」、・・・怨みつらみのオンパレードですね。子丑の四緑はおだやかな知恵者とは申せ、やはりここ暗黒の大宇宙ではおのれの暗黒面があぶり出されてしまうのですね。
でも人を怨めば怨むほど自分に跳ね返ってまいりますよ、憎いくやしい許せないの呪文を脳内で繰り返すたび相手ではなくおのれの心がじわじわ弱っていく、相手に届く前におのれの脳に届いているからです。損するのでやめたほうがいいでしょう。
間違えてはいけないのですが人生の責任はすべて自分にあります、今の環境を引き寄せたのももとをたどれば自分ですから。そして類は友を呼ぶ、あなたを取り巻く人間関係の源泉はあなたです。
怨みの想念は決してあなたを幸せにしないでしょう、人を呪うのをやめて「私は幸せになります」という祈りに切り替えることをおすすめいたします。はい怨みごとを書くのをやめて写経に変更する方が出ました、さすが子丑の四緑は悟りが早いです。

★五黄土星の方、はい。みなさん背中から両肩、首筋にかけて「不仲」という名の重荷を背負っていらっしゃいますね、凝って凝って大変でしょう。五黄の辞書に「みんな仲よし」という言葉は存在しません、ムリに仲よくするよりイヤなやつは蹴散らせばいいじゃん、そんな声が聞こえてまいりました。
ごもっとも、しかし人は他者との関係を避けては自分が何者であるかわかりません。そこで他者が現れます、たいてい「イヤなやつ」です。鏡がないと自分がどんな顔してるかわからないでしょう、なので自分の前にいる人が鏡になってあなたのイヤな面を映し出してくれるわけです。
人間関係とはお互いを映し合う合わせ鏡、親子しかり、伴侶しかり、恋人しかり、友達しかり、職場仲間しかり、例外はありません。「自分のまわりにはいやな人間ばかり」「全員大きらい」という人はご自分の胸に手を当ててじっくりお考えください、もしかするとあなたが一番きらいなのはあなた自身かもしれませんよ。
そこに気づかず「イヤなやつ」を責めてもムダです、その人はそういう役割を配されているだけなのですから。その人を蹴散らしてもその先でまた同じような、いえさらにパワーアップした人が出てまいりますのでお気をつけください。
首、肩、腰の凝りがお辛い方のためには貼り薬、マグネット、ストレッチゴムひもなどのご用意がございます、ご希望の方はのちほどCAにお申しつけくださいませ。

★六白金星の方、あらっご自分から吐き出した想念の糸でぐるぐる巻きになってますね、身の置き所がないのか天井から逆さ吊りでぶらぶら揺れてミノムシのよう。あまり思い詰めないほうがいいですよ、昨今何かとストレスフルなのはわかりますけども考えすぎは身体によくありません。
悩み事を解決するにはとことん考えて解決法を編み出すかそれがムリならスパッと忘れるもしくは逃げるしかありません。いつまでもずるずる引きずっているとストレスが身体中に回って蕁麻疹や帯状疱疹や胃腸の不調やうつなどを引き起こすことがあります。くやしいこと腹立つこと理不尽なことで身体壊すなんて馬鹿らしいですよね、宇宙旅行も半分以上過ぎたことですし、そろそろミノムシから脱皮しませんか。
やり方は簡単、その問題から気をそらすだけです。最初は10分、そのうち60分、慣れれば数時間、それに囚われない時間を徐々に延ばしていくだけで自分を覆うミノが薄くなってまいります。
悩みから気をそらすには「不用品の廃棄と部屋の掃除」「イメチェン」「ハッピーエンドの本やスカッとする映画や勇気をくれる音楽を聴く」「漫才や落語やYouTubeなどで笑う」「旅行して非日常を体験する」「スイーツを楽しむ」などが有効ですのでお試しください。お望みでしたら船外活動用機動ユニット(MMU)のお貸し出しもしております、スペースデブリとの衝突、ユニットの故障による宇宙放出、宇宙服に穴の開く可能性などスリルとサスペンスを味わうことで、いやでも悩みから気をそらせます。

★七赤金星の方、こちらのブースは野戦病院の様相を呈しておりますね。鼻っ柱が張りすぎたのが原因の鼻骨骨折、資金繰りや投資の失敗による大けが、異性間の火遊びによるやけどなどみなさん満身創痍、大丈夫ですかー傷は浅いぞしっかりしろ。
トラブルの原因は自信過剰です、「私なら大丈夫」「これくらい全然平気」「バレるわけないじゃん」と現実を甘く見ておられませんでしたでしょうか。
ここ大宇宙ではものごとの尺度がゆがんで目測が狂いやすいため、「自分ならこんな仕事片手間でこなせる」と大見得を切ったら全然ムリだったり、「リボ払いなら楽勝じゃん」とどんどん買ったところが負け戦になったり、ローンを組んだらリストラされて借金だけが残ったり、「絶対女房にはバレないから」と高をくくったら女房はおろか親戚一同職場一同にまでバレバレでしたとかいうことがよくあります。
楽観主義は七赤の長所ですが天中殺期間はその長所が「甘い」という短所にひっくり返りやすいです、それ以上ケガを増やさないよう今後は十分お気をつけください。
ケガ予防のコツは「欲張らない」「甘く見ない」「現状維持もしくは必要最小限で満足する」「今の自分のパワーは通常の5〜6割と心得る」でございます。お仲間を見かけましたら「ご安全に」「ヒヤリハットは御法度で」のお声がけをお願いいたします。

★八白金星の方、はい。みなさん世の中のトラブルはどこから発生するかご存知ですか、そう口ですね。「最初に言葉ありき」と申しますが口から出てくる言葉は諸刃の剣、上手に使えば運を開きますが不用意に使うと災いを呼ぶことが少なくありません。特に気をつけたいのはグチや人の噂話、悪口、ウソ、誇張、想像や思い込みでものをいうことです。人をネガティブな気分にさせる言葉を日常的に発していると周囲の人が離れ、やがて孤独を味わうことになります。
話し方も大切、声質やイントネーションは人となりを表します、本人のバイブレーションが声色に乗りますからね。人に同意を求める疑問調の語尾上げや自信のなさを示す語尾尻切れはやめ、TPOに合わせて音程に適宜変化をつけながらはっきりハキハキお腹の底から声を出すとよいでしょうってこれ歌い方と一緒じゃないですか。
声に自信のない方はボイトレするといいでしょう、現状打破したい方はロック、ノリをよくしたいならスイングジャズ、昔のウキウキ気分よもう一度ならポップス、素直な心を取り戻したいなら童謡、毒を毒で洗い流したいなら藤圭子の怨歌がおすすめです。
口八丁手八丁の子丑の八白もこの大宇宙では腹の底に溜まった厄が口から漏れがち、しかも1しか言ってないつもりが相手の耳に届く頃には100に増幅しています。よけいなひと言を阻止するためには、マスクの2枚重ねがここ宇宙でも有効です。

★九紫火星の方、おやっみなさん頭のてっぺんから火を噴いておられますね。怒りの溶岩流が四方八方に流れ出しますと他のお客さまにご迷惑がかかりますのでお気をつけください。
憤りの原因は何でしょう? 家族や親戚や隣人が煩わしい、友達づきあいが面倒、仕事ハードなのに給料安い、収入減った、テレビがコロナあおってもううんざり、ネット広告がグロくてキモい、おやつ減らしてるのにちっとも体重落ちない、暑いのにマスク鬱陶しい、便乗値上げで今どき安いのはモヤシだけ。・・・いろいろございますね。
今年に入ってからのみなさんはいつなんどき爆発してもおかしくない活火山、頭頂部からちょろちょろ吹き出す炎でスルメやホッケの開きをあぶってちょっと一杯やりたいくらいでございます。しかしそんなにカッカしてはせっかくのスルメやホッケが焦げてしまいます。ここらでちょっとクールダウンしてはいかがでしょう、感情が高ぶっているうちは真の解決法は見つかりませんからね。
「ホントにアタマ来ちゃう!」から位相を変えて「自分は腹が立っている、じゃあこれからどうするか」へシフトいたしましょう。みなさんの課題は感情のコントロールと冷静さを取り戻すことです。切り替え上手の九紫ならそれが可能かと存じます。

・・・はい、こんな感じです。長くなってしまいました、みなさん小腹が空きませんか、ダイニングルームに和洋中取りそろえたバイキングをご用意いたしました。ライブキッチンでは天ぷら、ステーキ、窯焼きピザ、おにぎり、お寿司、串カツなどもお楽しみいただけます。食後のスイーツはお好きなものをお好きなだけ、童心に戻れるでっかいチョコレートファウンテンもございます。ここ大宇宙では食べることがせめてもの楽しみ、心の脱臼や肉離れ、打ち身、ねんざにはおいしいものが何よりでございます。

地球に置いてきた肉体がコロナに感染しないか心配ですか? 未来を憂えて気に病んでも仕方ありません、今私たちにできることはうがい手洗い殺菌消毒、そして毎日の栄養と運動と睡眠で免疫力を上げることです。さらに趣味や恋愛などほんの少しのお楽しみ、それさえ心がけていれば大丈夫、心配には及びません。

みなさんが地球に帰還するころにはコロナ禍も一段落していることでしょう、それまではここから地球を眺めてゆっくりとご自分の行く道を思い、ウキウキワクワク暮らす方法や、もっと幸せになるにはどうすればいいかじっくりお考えください。

地球帰還は2022年2月3日節分を予定しております、それまでもうしばらく大宇宙の旅をお楽しみください。
それでは肩の力を抜いてリラックスされ、引き続き安全で快適な空の旅をお楽しみください。大丈夫、なるようになりますし、あなたに必要のないことは起こりません。子丑天中殺のみなさんに幸いあれ。
Good Luck、Thank You。(一同礼)