圧倒的な存在感

 買ったばかりの服を着て、家を出る。自慢じゃないが、高かった。夏用のサンダルも新調したばかりだ。ヘアスタイルもいつになく決まっている。
 その日の私は自分で言うのもなんだが、光り輝いていたと思う。自信にみちみちていたと思う。
 人混みをかき分けて颯爽と歩き、お気に入りの花屋へ。
 今日はいつもより人の視線を感じる、ふふん。
 鼻高々に店内に入り、白いカサブランカを2、3本取って店内の鏡を肩越しにふり返る。
 鏡よ鏡よ鏡さん、この世で一番きれいなのはだあれ?
 左右の肩胛骨の上部に、純白のサロンパスが一対。背中の開いたベージュのチュニックが、その圧倒的な存在感を引き立ててている。
 あわててベリッと引きはがす。勢いがよすぎて肩がヒリヒリする。たぶん、はがしたあとが真っ赤に腫れるだろう。

 こういう事例は、初めてではない。1枚を4分の1にカットしたサロンパスを左右のこめかみに貼り付けたまま、初対面の相手(複数)と仕事の打合せをしたこともある。もちろん故意ではない。忘れているのである。馬鹿じゃないのか。

2009.05.14