夏風邪治療

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 夏風邪を引き、ああこりゃいかん早く直さねばと病院へ行って抗生物質をもらって安直に飲んだのがまずかった。
 3日飲めば1週間は効果が持続するという強力な抗生物質のおかげで免疫力が低下して舌は真っ白、上がるに上がれず下がるに下がれない約37度の微熱とのどから気管支にかけての不快感と全身の倦怠感とがすでに1週間以上続いている。
 あとで調べてみたら抗生物質は細菌には効くが風邪のウイルスには効かないとのこと、効く人には効くかもしれないが自分の場合は無駄に免疫力を低下させただけ、ばかだなあばかだなあ薬なんかに頼らず自力でウイルスをやっつけていれば今ごろすっきり回復して風邪耐性もついたのになああ今日もむだにだるいだけえええと演歌調に歌ってみるがもちろんそれで治るわけはない。抗生物質の効きの終焉を待って自力で体内環境を立て直し、再戦闘に臨むしかない。
 とりあえず今具体的にできることは①栄養のあるものを食べる、②よく眠る、③無駄に動いて体力を消耗させないの3つだけである。
 それ以外になんかできないのかと考えてみた。
 
 風邪を治すには体内のマクロファージをはじめとする免疫細胞を活性化させ、ウイルスをどんどん破壊してもらうしかない。「悪いウイルスをひとつずつ取り囲んでやっつけて食べてしまう」というマクロファージや好中球、NK(ナチュラルキラー)細胞はどの方位に属する物質か? と考えた末、「南西」という答えが出た。
 二黒土星の定位置である南西には「地道に努力する」「粘り強い」「ひとつずつコツコツ片付けていく」などの意味があり、さらにここは「ものごとをいつの間にか反転させる」「生きるものをじわじわ死に至らしめ、またその逆もある」という裏鬼門でもあるからだ。
 体内の免疫細胞の60%は腸に生息すると言われる。風邪を引くと下痢もしくは便秘をしやすくなるのは、腸が過度に働きすぎるもしくは働きすぎて疲れ、動く力が衰えるせいだろう。
 胃腸をつかさどる方位は南西である。免疫力に大きな影響を及ぼすのはやはり南西といっていいだろう。
 
 もうひとつ、免疫力を高めるには納豆や味噌、チーズ、ヨーグルトなどの発酵食品が効くと言われている。発酵食品は腸内の善玉菌を増やしていい腸内環境をつくるからだ。
「発酵」という営みは「中央方位」がつかさどる。中央は五黄土星の定位置であり、破壊(腐敗)と再生の方位なのだ。
 五黄には「排泄物」の象意もあるので、中央は南西と同じく腸をつかさどる方位と考えられる。
 以上のことから、「風邪の治癒には南西と中央のパワーを強化すればいい」と結論を出した。

 まず家の中心から見て南西に盛り塩、中心に盛り塩、ついでに東北の表鬼門にも盛り塩をして、自分を取り巻く環境の気を清める。
 東北と南西は超能力持ちの二卵性双生児のようなもの、風邪の治癒に限らず「いざ」というときに同時に清めておくと「兄弟!」と双方でガッと手を取り合って合体&ウルトラマンのようにぐんぐんパワーアップし、家の底力を立て直してくれるはずだ。
 表鬼門・裏鬼門に清らかでまっすぐな空気が漂う家はあまりイヤな目に遭わないし、逆に汚れた空気が漂う家は住人にグチや不満や苦労が多くなるとされている。

 南西は母なる大地の方位なのでフルーツや植物の実など「実りのもの」と相性がいい。大地の営みとして蜂が集めるハチミツもいいと思う。
 体内に南西パワーを注ぎ込むにはフルーツや木の実、田畑で収穫する穀類や豆類、いも、ごぼう、にんじん、大根、かぼちゃなどの根菜類を食べるといいのだ。
 南西は「庶民的な手作り」「田舎風」「煮込み料理」と相性がいいので、外食より家庭で作った「あつあつ」が効く。
 体内に中央のパワーを注ぎ入れるには納豆や味噌汁、ぬか漬けなどの発酵食品を採る。
 書いているうちに気づいたのだが、風邪を引いた子どもに母親がおかゆやおじや、煮込みうどん、温野菜、フルーツ、ヨーグルトのハチミツがけなどを一般的によく与えるのは、体内に南西と中央のパワーを注入するという意味で実に理にかなっているのではないか。(今ほどフルーツが豊富でなかった昔は、子どもの発熱時に桃缶やみかん缶などフルーツの缶詰をよく与えたものである。ちなみに外気を遮断した缶詰は中央のパワーを持っている。)
 というわけで、私はもつ煮込みうどん(牛の大腸を食すことによって自己の大腸をパワーアップさせようという試み)と納豆とバナナ&黒豆混ぜカスピ海ヨーグルトを食卓に並べてマクロファージの復活と権力奪回を計ろうと思うが、想像するとゲーである。これ、平常時でもいっぺんには無理だろう。

2012.07.07