午未天中殺のみなさんへ その2

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 大変長らくお待たせいたしました、これから第2回・宇宙船午未号内ミーティングを始めます。各自作業の手を休め、もしくはうたた寝から目を覚まし、しばらくこちらにご注目願います。
(ロビーのお立ち台に並んだキャビンアテンダント=以後CA、一同礼。)
 わたくし、チーフCAの午(うま)・未(ひつじ)でございます。
 ・・・・・・船内、シーンとしておりますね。お通夜みたいです。2012年、2013年に乗船された辰巳天中殺の方々とは大違い。「もうイヤぁーッ!」と泣き叫ぶ方も、勝手にハッチを開けて地球に帰ろうと宇宙に飛び出して回収される方もいらっしゃいません。

 乗船されてからみなさん魂が抜けたかのようにぼんやりもとい、もの静かに思索にふけっていらっしゃいますね。もしかするとご自分が天中殺に入ったことすら気づいてない方もいらっしゃるかもしれません、「あれ? ちょっと調子悪いけど気のせいかなあ」「何だか近頃やる気がないなあ」なんて(笑)。
 念のためここでもう一度ご説明申し上げておきますと、生まれ日が「午未天中殺」というグループに属するあなたがたは2014年2月4日よりこの船に乗船され、現在「天中殺」という大宇宙をゆっくり漂っておられます。地球帰還は2016年2月3日を予定しております。
 身体は地球上にあっても魂は地球からはるか遠くに離れたここにありますので、現実世界でやりたいことがやりたいようにできません。木に成った柿をおもちゃのマジックハンドでもぎとろうとするようなイライラ感、UFOキャッチャーで大きなぬいぐるみを取ろうとするときのああもうこれ全然無理じゃん的なもどかしさを感じていらっしゃるのではないでしょうか。
 無重力のこの大宇宙ではあらゆる努力が「のれんに腕押し」になりやすいのでお気をつけください、宇宙船内で読書をなさるなら「本気出せば努力は実る」系の自己啓発本より、「軽く悟ってみませんか」系の仏経本をおすすめいたします。

 ・・・・・・みなさん黙々と草を食む羊、あるいは風に吹かれて無心にたたずむ馬のようですね、聞いてるんだか聞いてないんだかさっぱりわかりません。
 子丑、寅卯、辰巳、午未、申酉、戌亥の全6グループの中で、午未さんが最も馬耳東風、馬の耳に念仏、いつどんなときもマイペースと申せましょう。聞いてるようで聞いてない、かと思えばたまにぼそっと核心を突いた鋭いことを言う。実に不思議な方々です。
 運命学では午未のことを「孤高の山から下界をながめる仙人」と申します。その大きく澄んだ瞳には、ありとあらゆるこの世の真実がくっきり映し出されていることでありましょう。ちなみに美男美女が多いのもこのグループの特徴です。ちょっとカゲがあって格好いいんですよね。

 では、九星別に点呼を取ってまいります。呼ばれた方は挙手お願いいたします。

★午未の一白水星さん、はい。
 午未グループの中でも「知恵者」と誉れ高いみなさんですが、さすがにここにきて少し疲れたお顔をなさってますね。
 2014年、みなさんは「何かと面倒な仕事を任される」というお題を与えられましたが、いかがでしたでしょうか、努力の甲斐はありましたでしょうか。
 はい神田さん、「頑張りがなかなか形にならなかった」。はい大森さん、「誰も努力を認めてくれない」。はい水道橋さん、「縁の下の力持ちを余儀なくされている」。
 そうですね、きっと多くの午未の一白がそう感じていらっしゃることと思います。お疲れさまです。
 ・・・・・・こんな歌がございます。
「これはこの世のことならず 死出(しで)の山路の裾野なる 賽の河原の物語」
 小さな子どもたちが朝から懸命に積んだ石の塔を、夜になると鬼が現れては無慈悲にこん棒でなぎ払ってしまうというせつない歌ですね。
「一重(いちじゅう)積んでは父のため 二重積んでは母のため 三十積んではふるさとの 兄弟わが身と回向(えこう)して」
 口ずさむたび、みなさんのお姿と重なってしまいます。
(2、3人のCA、そっと涙をぬぐう。)
 しかしご存じでしょうか、この歌の最後には哀れみ深いお地蔵さまがどこからともなく現れ、子どもたちを抱き上げて仏さまのもとへと連れて行ってくださるのです。
 2014年に苦労されたみなさんも、2015年には流れが少し変わってまいります。耳の穴から気力、体力をプシューッと吹き込まれ、しぼんだ身体がどんどんふくらんでくる感じってまるで自転車のタイヤみたい、ええそういう感じになると思います。
 無償の努力をこのまま編み伸ばしてろうそくの芯とし、天から降り注がれる大慈大悲のお救いを希望のともしびとしますれば、やがてあなたを中心とする半径1メートル内の世界はふわりと温かく光り輝くことでございましょう。

★午未の二黒土星さん、はい。
 午未の中でもひときわマイペースなのが二黒のみなさんです。午未と言えば「スタイリッシュ」「クール」「いぶし銀」と相場が決まっておりますが、みなさんの場合は見た目より実利、花より団子、きれいごとより実相を重んじるという特性があります。
 打たれ強く、転んでもただでは起きません。台風の日に崖から転がり落ちても「土砂降りの雨の中で」(by 和田アキ子)を歌いながら泥だらけでのっそり這い上がってくるタイプです。
 2014年は「自分をコントロールする」というお題を与えられましたが、いかがでしたでしょうか。
「ぜひ私にやらせてください自信があります、本多部長に恥はかかせません!」とタンカ切ってプレゼン行ったはいいけれど結果討ち死にだったり、「マザコンのあんたなんか大きらい!」といいとこの御曹司がせっかく玉の輿に乗せてやるちゅうとるのにあっさりふっちゃうとかですね、自分を自分で制御するのがなかなか難しかったのではないでしょうか。
 もうやめとけ、そこら辺で頭冷やしとれとみんなが言ってるのに「だいじょうぶ、まだまだやれますっ」と根拠のない自信と持ち前の負けん気がマイナスの相乗作用を引き起こして泥沼に足がはまり、どうしても抜け出せない。ちょうど今そのような感じではないかとご拝察いたします。お疲れさまです。
 2015年はぬかるみから脱け出せますよ、泥沼から水が引いて乾燥し、歩けるようになるでしょう。歩いた先でたくさんの人との出会いも用意されています。
 その出会いが吉と出るか凶と出るかはあなたしだい。「利用してやろう」とか「押しのけてやる」などと思うと再び泥沼にどぼんの刑が待っておりますので、ご注意ください。

★午未の三碧木星さん、あれ?
 お返事がありませんねあっロビーの片隅でどーんと落ち込んでいらっしゃる。
 みなさんの2014年のお題は「人間関係の荒波を乗り越える」でした。
 人という字はどう書くの、こうしてこうしてこう書くの、ね、人と人がちょうどいいバランスで寄り添って人なんです、人間関係は腹六分、仲がよくても腹七分と。
 それ以上深入りすると息が詰まってやりにくくなりますよ、後悔しても個人情報公開したあとはもう引っ込められません。
 人間関係は水もの、友達じゃ親友じゃと言うても川の流れが変化すれば自然に離れ、流れた先々でまた別の人と出会います。その繰り返しです。
 そう考えますとあんまん肉まんタワーマンにおけるママカーストや公園にたむろするボスママ四天王、何かにつけイヤミたらしい小石川係長などちっともこわくありません、川の流れが変わればその人達はフッと消えてなくなるのですから。
 ・・・・・・「人間はしょせん孤独な生きもの」と生まれながらに心得ていらっしゃる午未さんにそんなことを言っても釈迦に説法でしたでしょうか、失礼いたしました。
 あれっ三田さんどうしたのです目にいっぱい涙をためて。え? 信じていたカレに裏切られた? ああ、三角関係で負けてしまったのですね。
 くやしい、腹が立つ、絶対に許さないがうねうねうねと三つ編みになって怒髪天をついてものすごい迫力ですね三田さん、お疲れさまです。
 しかし「天中殺期間の別れは追うな」と運命学では申します。
 天中殺期間には隠れていた真実が露呈しやすくなります、相手が女つくって逃げたということは「それだけの男だった」「これ以上つきあう必要はない」「相手の女に熨斗つけてくれてやれ」ということであり、無理につきあってもまたどこかで同じことが起こります。
 ここは潔くあきらめて次のご縁を待ちましょう、でもあせりは禁物、元カレの影響が心身から脱けるにはある程度の時間がかかりますからね。それまでは自分磨きに専念して、天中殺が明けてからワンランク上の男をつかむことにいたしましょう。

★午未の四緑木星さん、あれれ。
 お姿が見えません。どこに隠れたのでしょうか・・・・・・、あっのしもちみたいにぺたんこになって椅子の下にはさまってる!
 どうしたんですだいじょうぶですか、えっ? 娑婆で押しくらまんじゅうされてペラペラになっちゃった? 
 うーん大変でしたね、しばらくそこのソファで横になっててください、ホメオスタシスが働いて時間がたてば元通りふくらんでくるでしょう。
 ええとみなさんの長所は「人の心が読めること」「繊細でナイーブなこと」「やさしくて思いやりがあること」ですが、残念ながら天中殺期間はそれが裏目に出がちです。エンパス体質※がマイナスに働き、他人のネガティブな感情がノーガードで体内に流入してしまうのです。 ※注:empathy=共感、感情移入。「エンパス体質」とは、望むと望まざるとに関わらず他人に共感、共鳴してしまう体質のこと。
 人混みに出ると疲れる人、はい手を挙げて。午未の四緑は全員挙手ですね、みなさん他人の念を受け取りやすい。他人と長時間一緒にいると肩が凝ったり頭が痛くなったり疲れたりしますでしょう。
 ね、ただでさえそうなのですから、感覚がより鋭敏になる天中殺期間真っ最中の今はどんだけきついか。世の中いい人だけとは限らない、腹黒い人、変わった人もいっぱいいます、そういうのに取り囲まれてぐいぐい邪気を押しつけられてりゃ、そりゃぺたんこにもなりますよ、お疲れさまです。
 2014年のお題は「自分をガードする術(すべ)を学ぶ」。
 お気の毒ですが私には関係ありません、ここから先は進入禁止ですよと。丹田からふわっと気を出して全身の体表外側15センチにバリヤー張りますよと。イヤな渡世だなあと。エコエコアザラクそしてザメラクと。
 ね、そうやって引き続き2015年もご自分を守る訓練に励んでまいりましょう。

★午未の五黄土星さん、はい。
「ブルージャスミン」という映画をご存じでしょうか?
 ウディ・アレンが脚本・監督を務め、ジャスミンを演じたケイト・ブランシェットがアカデミー主演女優賞を取った2013年度の作品です。セレブな女性が離婚を機に落ちぶれて、徐々に精神を病んでいく物語です。
 この映画はジャンル的に「コメディ」だそうですが、追い詰められ、現実と虚構の境界線が曖昧になっていく主演女優の姿には鬼気迫るものがあり、いっそ「ホラー」と言い換えてもいいように思えます。
「ブルー(憂うつ)なジャスミン」の最大の問題点は虚栄心と自尊心です。「セレブの座から転落した」という現実を素直に飲み込めず、無一文になってもファーストクラスに乗っちゃったりする。すでにアラフォーなのに「これから大学に通って何か勉強して手に職をつけるわ」と本気で思っちゃったりする。それが無理とわかると今度は金持ちの男と再婚するためにさまざまな嘘をつく。そうやってどんどん現実から乖離していくわけです。
 ジャスミンの気持ち何となくわかると思う方、手を挙げてください。はい午未の五黄グループはほぼ全員手が挙がりました。そう、みなさんの2014年のお題は「身の丈に合った生活をする」でしたね。
 実践できましたでしょうか? 変なプライドからいらぬ見栄を張ったり、嘘をついたり、わがままや自己顕示から「自分が、自分が」としゃしゃり出たり、心配してくれる身内を邪険に扱ったことはなかったでしょうか。
 その結果「長く伸びた鼻をへし折られる」「みんなからスルーされる」「まさかの大敗」「権力を失う」「しなくていいことをするはめになり、深く疲れる」などの報復に見舞われた方も少なくなかったのではと思います、お疲れさまでした。
 本来の星まわりならば2014年は自尊心やプライドがいいほうに作用してとんとん拍子に出世できたでしょうが、ここ宇宙ではそれらがみな逆作用を起こしてしまうのです。
 でもだいじょうぶ、2015年は心理的な緊張状態が少しゆるみ、現実を見つめるゆとりが生まれるでしょう。副交感神経が優位になれば、頭痛や肩こり、便秘なども改善されてくるかと思います。

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 はい、ここでしばらく休憩をはさみます。ご用のある方は今のうちにお済ませください。
 小腹の空いた方にはハムきゅうサンド、イカめし、干しいも、冷凍みかんなどのほか、各種温かいお飲み物もご用意がございます。ワゴンを押しておりますお近くのCAまでどうぞお気軽にお申し付けくださいませ。
 また船内は禁煙でございます、どうしても吸いたい方は船外でと申し上げたいところですが、ヘルメット内に煙が充満して大変危険ですのでおやめになったほうがよろしいかと思います。
 それにしましても、この宇宙船にお乗りいただいてから早や1年がたとうとしております。あっという間ですね。みなさん、乗り心地はいかがですか?
 はい一白の大門さん、もともと静かなのが性に合っているのでここはむしろ快適な環境、ですか。はい三碧の新馬場(しんばんば)さん、船外活動ユニット(EMU)を装着して宇宙空間を飛び回るのがスリリングで楽しい? よかったですね、でもたまに宇宙ゴミが高速で飛んできますのでご注意ください。
 宇宙ゴミが頭部や胴体を貫通してものすごいお姿になる方がまれにいらっしゃいます、時間がたてば自然に再生されますけども、お鏡を見たときにギョッとしますのでどうぞお気をつけくださいませね。
 あちらに地球が見えますね、明るく青く光り輝いております。もの言わぬ暗黒の大宇宙の片隅にあんな美しい星があるなんて、奇跡としか思えません。どうぞみなさん娑婆で身についた厄をこの大宇宙ですっきりふるい落とし、軽々とした心と身体になってふるさとへ戻られますように。
 ・・・・・・はい、お時間です。ミーティングを再開します。

★午未の六白金星さん、はい。
 ああ、情けない顔をしておられる。財布がすっからかんですね? はいその通りと。2014年、みなさんに与えられたお題は「お金の使い方を再学習する」でした。
 午未の六白は「大きく稼いで大きく使う」というダイナミックな金運をお持ちですが、天中殺期間に限っては「カンが狂う」「血迷う」「タイミングを間違える」などの凶作用により、損害を受けやすくなります。
 ギャンブルで財産を失った方、買い物依存症でカード破産しそうな方、金利のバカ高い借金で首の回らなくなった方もいらっしゃるかもしれません、お疲れさまでした。
 あのねギャンブルってそもそも儲からないようにできてるんです、儲かるのは胴元だけですよ。
 カード払いは財布から現金を出さないので喪失感が薄いですけど、えっこんなに、いったい何に使ったのオレとあとで明細見て愕然としますよ。
 借金はお金を買うこと、お金を買うための金利ってものすごく高いのご存じですか。
 じゃあどうすればいいのか。
 ①必要なぶんのお金は最初に袋に小分けして取っておき、残ったお金でやりくりする、②カードは持たず現金主義、③よけいなお金を持ち歩かない、④安易にローンを組まない、⑤住宅ローンはまめに繰り上げ返済する、⑥空腹時にスーパーへ行かない、⑦スーパーの安売りサイクルを知って底値買いをする、⑧遊びに行くとき、外食するときはクーポンを利用する、⑨ネットで安易にものを買わない、⑩流行りものの新製品に飛びつかない。
 古くさいと思われるかもしれませんが金銭感覚にアナログもデジタルもありません、以上の10ポイントをできるだけお守りくださいますように。
 人間の幸せは衣食住に支えられていますのであまり切り詰めるのもいかがなものかとは思いますが、「ちょっと待て 三日たったら買いに行け」「それ買って ホントにいいのか深呼吸」「買ったなら 返品不可です生ものは」などと心して、急降下している金運に歯止めをおかけください。
 2015年は、停滞していたものごとが動き出します。今までの不本意な状況が押し流され、新たな希望が生まれてくることでしょう。

★午未の七赤金星さん、げげっ。
 松葉杖に車いすに包帯ぐるぐる巻き、三角巾で腕吊ったりギプスをはめた首がグラグラしてる方もいらっしゃいますね、野戦病院かここは。
 はい、2014年のお題は「健康管理に気をつける」でした。
 リビングのソファでごろんと横になり、みかんでもむきながらのんびり連続ドラマを見るのが大好きな午未の七赤さんにとって、2014年は多忙をきわめるストレスフルな年でした。
 片付けねばならない仕事や家事、育児、介護などがどっと山のように押し寄せてきて、それはそれは大変だったのではと存じます。どうしてこんなことが一気に起こるの、想定外の出来事ばっかり、ああどうしてあたしだけこんな目に。
 気力体力があるうちはいいですけど、疲れが溜まってくると集中力がなくなるんですよね。仕事の企画書書いてるつもりがいつの間にかヘブライ語で悪魔召喚の呪文書いてたとか、せっせと幼稚園のスモック縫ってるつもりが出来上がってみたらポッケつきのカフェカーテンになってたとか、ときとして自分でもよく理解できない奇怪な現象に遭遇したのではないでしょうか。
 こわいのは疲れから事故を起こしちゃうことです。もうろうとして歩いてたら電柱にぶつかっちゃったとか、夢うつつで階段を駆け下りたら踏み外しちゃったとか、館林ICで降りようと思ってたのに気づいたら佐野SAで仕方ないからそこでラーメン食べちゃったとか、もう全然しゃれになりません。お疲れさまです。
 今年ケガや体調不良に見舞われた方は、まず身体を癒やすことに専念いたしましょう。健康診断をまだ受けていない方は医務室で申請してください、まだ間に合います。
 ストレスの多い環境でじっとガマンしてると免疫力が低下して病気に罹りやすくなることをご存じですか? 宇宙船の窓から地球をながめながら「自分はあそこの環境でこれからもずっと元気に生きていけるだろうか」と各自自分に問うてみてください。答えが「否」なら来年は環境を変えましょう。
 2015年は人生の模様替え大吉です。いろいろ改善策を練ってみてください。

 はい七赤の千駄木さん何でしょう、「でも天中殺期間は下手に動かないほうがいいんですよね?」。
 いいえ、そんなことは全然ありませんよご心配いりません。ご自分を守るための引っ越しや転職、離婚、通院、手術などにおいては何の差し障りもございません。
 出産も厄落としになります。ご自身の生死を賭して命を分け与えるのですから。未年生まれの赤ちゃんは気がやさしくて力持ち、親思いの孝行者。協調性があり、みんなからかわいがられるので将来はお金にも困りません。お父さんお母さん自慢の息子さんや娘さんになることでしょう。
 ただひとつ、天中殺期間に重大なイベントを決行いたしますと、平常時よりミスや手違いが多くなりがちです。慎重にことを進めるのはもちろん、ここ一番の大事な局面では、信頼できる第三者に同席してもらえば安心ですね。
 また天中殺期間に会社を辞めた場合、「再就職口が見つかりにくい」「すぐに再就職できたとしても同じトラブルが起こりやすい」と覚えておかれますように。転職、再就職はできれば天中殺明けにスタートされることをおすすめいたします。

★午未の八白土星さん、はい。
 さえない顔、不満そうな顔、不機嫌そうな顔が多ございますね。感情をめったに表に出さない午未の八白も、さすがに天中殺はこたえますか。
 みなさんの2014年のお題は「過去と折り合いをつける」でした。
 掘り起こしたくない過去、二度とお目にかかりたくない過去、できれば誰にも知られずに永久封印したい過去。ええもちろん誰でも保管してます、保管してますけど平常時は保管庫のドアにロックがかかってなかなか出てきません。
 しかし天中殺に入りますといとも簡単にロックがはずれ、最も忌み嫌う過去が時空を越えて「清算お願いします」とあなたのもとにやって来ます。
「あっ今日から中途入社の四ツ谷さん、四ツ谷さんですよねああやっぱり。私、昔おつきあいさせていただいてた下神明です覚えてますか? ふふふ鼻をちょっといじったからわからないかな。あの嵐の夜、一方的に罵詈雑言浴びせられてふられちゃったけどあれ別に私が悪かったわけじゃないですよね? ですよね。その後すぐ蒲田さんと結婚したって聞いてますけど今幸せですか? 幸せなんですねうふふふ。ええ、私ここの支店長。よろしくね」
「あっお帰り、遅かったね。うん、屋上から窓ガラス開けて侵入しちゃった。貢いで貢いで捨てられた田無です。ボク一文無しになってパパとママからさんざ叱られて勘当されちゃったの、キミのせいだよ。さっきからずうっと頭の中でヘドバとダビデの『ナオミの夢』が流れてるの、ねえ成瀬さんお金返してほしいんだけど総額1億5千万円。今さら無理? そうかあ、じゃあ今日からこのマンションに棲まわせてもらうよ、湾岸のタワマン最上階だから夜景がきれいで気分いいなあここ。 ね、おなか空いたから肉でも焼いてくれない? さっき冷蔵庫のぞいたらいいお肉入ってたよ」
 そのような感じで過去が追ってくる、ふり払ってもふり払ってもターミネーターのようにしつこく追いかけてくるわけです。お疲れさまです。
 こりゃ逃げてもダメだとそろそろお気づきの方もいらっしゃるかと思います、ね、自分でまいた種は自分で刈り取らなければいけません。午未の八白は「因果応報」という言葉を噛みしめながら、清く明るく誠実に過去の清算に励まれますように。
 2015年も引き続き眉間にシワ的な状態がしばらく続くかもしれませんが、だいじょうぶ、明けない夜はありません。相田みつを詩集「にんげんだもの」が本宇宙船の書庫にございます、ご一読されたい方はのちほどCAまでお申しつけくださいませ。

★午未の九紫火星さん、はい。
 見た目に何の変化もなくいつもと同じようにおすまししていらっしゃいますが、午未グループの中で最もダメージがきついのはもしかするとみなさんかもしれません。
 はい、みなさんに与えられた2014年のお題は「孤独とドライブ」でした。
 午未の九紫は本来一人でいるのがイヤじゃありませんし、むしろご自分独自のナイーブな世界に他人がずかずか入り込んでくるのをきらい、それがために人を退け、「人ぎらい」と称されることもあります。他の方々とは異なり、生きることにおいて独自のルールや美意識をお持ちなのです。 
 しかし一方で、とても寂しがり屋です。このグループは愛する人、大好きな人、信頼できる人がそばにいないとたちどころにしおれた花のようにぐんにゃりしてしまうという特性があります。
 人が寄ってくるとこれ以上近寄るなと邪険にするわりには甘えん坊で人懐こい面もある。いわゆる「猫みたい」とか「ツンデレ」(あるときはツンツンし、あるときはデレデレ甘えてくる。その差が極端に激しい人のこと)などというやつです。「その落差がたまらない」と萌え悶え憧れる方々が、ときにファンクラブとか崇敬会とか秘密結社などをつくるわけです。
 しかし天中殺期間に入りますと、地球上でのみなさんの存在感は非常に薄くなります。なにせ肉体は地球で魂はこの大宇宙にありますから、肉体になんとなく新鮮な生イカのような透明感が出てくるといえばわかりやすいでしょうか。
「二俣川さん、あれいないや。ご飯誘おうと思ったのに。じゃあ鴨井さん一緒に行こうよ、駅前においしそうなイタリアンできたんだ」
 二俣川さんは鶴ヶ峰くんの真後ろにいたのですが、影が薄いので気づかれなかったのですね。
 2014年、午未の九紫のみなさんは透明人間になってしまったかのような不安感、ハブられたのではないかという恐怖感、みんなが私をスルスルスルーするという絶望感に支配されていたのではないでしょうか。お疲れさまです。
 でも、その現象は一過性ですのでどうぞご安心くださいませね。  
 2015年は降り続けた雨も上がり、ところどころ晴れ間が見えて空が明るくなってくるでしょう。助手席に乗っていた「孤独」という魔物はいつしかいなくなり、かわりに「希望」という名の子猫ちゃんがちょこんと座っている、そんな感じになるかと思います。

 はい、以上でミーティングを終わります。予定時間よりだいぶ長引いてしまいました。
 何かご質問はありますか? しーん。・・・・・・みなさん相変わらずお静かですね、軽く寝息を立てている方もいらっしゃいます。

 船は順調に運航しておりますが、この先宇宙酔いなどでご気分が悪くなりましたり、不安や心配で胸がおしつぶされそうになりましたときは、どうぞご遠慮なくわたくしたちにご相談くださいませ。
 気を紛らわせるのに役立つリリアン編みのご指導、囲碁のお相手、そば打ち教室、写経会、聖書の読み聞かせなど、楽しいリラクゼーションプログラムを各種ご用意させていただいております。

 あっ申し忘れておりました、最後になりましたが船長からみなさんへ大切なメッセージを預かっております。ええと、これだ。読み上げます。
「午未のみなさん、天中殺期間だからと下を向かず、あきらめず、投げやりにならず、いつも通りあなたらしい人生を楽しんでください。そしていついかなるときも、あなたの奥にある知恵と底力を信じてください」
 とのことです。

 それではみなさん、引き続き快適な空の旅をお楽しみください。またお目にかかりましょう。
 Good Luck、Thank you。
(CA一同、礼)

午未天中殺のみなさんへ その1

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 全国の午未(うまひつじ)天中殺のみなさんこんにちは。
 
 ああさすが午未天中殺の方々は乗船がお早い。みなさんおだやかなお顔をされてすでにミーティングルームに着席されていらっしゃいますね。「6つの天中殺グループの中で潔さナンバーワン」「理性の人」「市井(しせい)の悟り人(びと)」と称されるだけのことはあります。
 最後までいやだ帰るとだだをこねる辰巳天中殺、勝手にパラシュートをつけて飛び降りようとする申酉天中殺のみなさんとは違います。

 はい、ようこそ宇宙船午未号へ。
 これから2年間、みなさんにはこの船で「天中殺」という名の大宇宙の旅をお楽しみいただくことになっております。わたくしの後ろにずらりと並んでおりますのはみなさまの旅のおともを務めさせていただきますキャビンアテンダント、そしてわたくしがチーフキャビンアテンダントの午(うま)・未(ひつじ)です。どうぞよろしくお願いいたします(一同礼)。
 旅の途中でご要望やご不明点などありましたら、どうぞご遠慮なくわたくしたちにお声をおかけください。

 さて、宇宙を旅している最中はいつもと同じようにお過ごしいただいてかまいませんが、少しだけ注意事項がございます。
 ご存じのように宇宙は無重力の世界ですので、身体の自由がききません。あちらに行きたいと思ってもなかなか思い通りに進めませんし、逆に止まりたい、休みたいと思ってもいったん加速がつくとブレーキが効きません。
 また、ここは根性を出して踏ん張りたい! と強く望まれても宇宙空間には地面がないので足腰に力が入りませんし、押して押して押しまくれば道が開けるはずだ! と頑張ってものれんに腕押しとなり、深い無力感を覚えることになります。
 重力のある地球では簡単にできたこと、少し無理をすれば可能になったことが、宇宙では難しくなるということをあらかじめご了承くださいませ。
 
 みなさんのお姿は今までとまったく変わらず地球上に投影されますが、実体はこの船の中にあります。ですので家族や恋人やお仲間と一緒にいても、まるでエア牢獄に閉じ込められているかのような孤立感、あるいは世界の真ん中で不安を叫びたくなるような孤独感を覚えることがときにあるかと存じます。
 そのようなときはむりにご自分の存在感をアピールしようともがくより、ただ静かに受け身の姿勢で「なるようになるさ」とシャンソンもしくはR&Bのリズムに身をゆだね、成り行きに任せることをお勧めいたします。
 
 航行中、ときにビジネスがうまくいかなくなったり、対人面や恋愛面でストレスを感じたり、人によっては体調が不安定になってどん詰まり感を覚えることもございますが、「今までの生き方を見つめ直すいい機会」「軌道修正のチャンス」「神さまがくれた人生の作戦タイム」と割り切られ、いたずらに嘆いたり悲嘆に暮れたりなさらないようお願いいたします。
 試練が大きければ大きいほど「どこまで自分を鍛えられるか、神さまから期待されている」とお考えになってください。
 ちなみに運命学では、「12年に一度、2年間の天中殺が巡ってくるのは神さまの愛」と申します。星飛雄馬も強力なバネ製の養成ギプスをつけて天下の魔球・大リーグボールを編み出しました。

 はい、挙手されたのは午未・六白金星の山田さんですね何でしょう。
 していいことといけないことをざっと教えてください、ですね。
 的を射たいい質問ですね、さすが思慮深い午未天中殺です。
 していいことは「人にやさしく親切にする」「学んで知識や技術を身につける」「いらないものを処分する」などです。
 やらないほうがいいことは「欲や利益を優先させる」「人を押しのける」「結婚や家の新築など大きなイベントをゴリ押しする」などです。無理にイベントを決行しますと契約時にミスしたり、小さなミスが大ごとに発展したり、優子ってこんな性格だったのかと頭を抱えるなど、何かと裏目に出やすくなります。
 基本的な判断基準として「手放す」は吉、「かき込む」が凶。それをするときの目的が「自分さえよければ」の欲得でなければOKです。

 はい、ではそちらの窓ぎわの方。午未・九紫火星の藤岡さんですね。
 いつ地球に帰れますか、ですか。これもいい質問です。
 地球帰還は2016年2月3日を予定しております。ちなみに翌4日の立春から、申酉天中殺の方々がみなさんに代わってご乗船されます。

 あとは・・・・・・ありませんね。
 このようにむだなくさくさくミーティングが進行できますのは、みなさんが賢くて物わかりのいい午未天中殺だからです。いついかなるときも状況を鋭く観察され、安易に他人を頼らず、あせらず静かに流れに身を任せていらっしゃる。
 誰ですか、「その落ち着きぶり、動じなさぶりは鈍牛(どんぎゅう)ならぬ鈍馬(どんば)ですね」なんてひどいことを言うのは!
 あっ辰巳天中殺の小池さんじゃないですか!
 いけませんよ、あなたは2014年2月3日の節分で宇宙旅行が終わったんですから。早くお降りください、えっ居心地がいいからまだもうちょっと乗っていたい? ここはここで楽ちんなんだもん? ダメですよ何言ってるんですか、あなたは娑婆でやることがあるでしょう。(無理やりハッチから押し出す。)

 ふう・・・・・・。失礼いたしました、たまにこういうことがございます。
 それではみなさん、本船は間もなく離陸いたします。シートベルトを・・・・・・そうだ、大事なことをひとつ申し忘れておりました。
「午未天中殺に限り、天中殺時の災いはそれほど過酷なものにはならない」という運命学のルールがございます。
 みなさんは一家や一族や所属するグループのまとめ役として、最後まで走り抜かねばならないお役目があるからです。「午未は長い道のりを淡々と冷静に完走せねばならない責任を担っているから、天中殺期間もなるべく道を平坦にしてやろう」という天の配慮と申せましょう。大宇宙は実に奥が深いです。

 ・・・・・・窓の外ではしんしんと雪が降り積もってまいりました。旅立ちの日にふさわしい、凛とした美しい眺めです。 
 それではどなたさまもシートベルトを今一度確認され、肩の力を抜いてお気を楽になさいますように。そして、これから始まります快適な空の旅をお楽しみください。Good Luck、Thank You。