流れるということ

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 目黒川に桜吹雪を見に行く。
 散った花びらが川面に乗ってごうごうと流れていく。水の勢いにあらがえる花びらはただの1枚もない。みな静かに同じ方向に流れていく。
 人も同じ。私たちはみな、時の流れに乗って一定方向に進むだけだ。不平等なことは何もない。

2009.04.12

埋め立て地の果て

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平日の埋め立て地には誰もいない。
船の博物館の奥を進むと、海の見える公園が広がっている。
ベンチに座り、西日を浴びながら黒い海をながめる。光が乱反射してまぶしい。
海の向こうには、悠然と立つ大キリン。
キリンの背中に乗り、風に吹かれながらぼんやり海を見つめる自分を夢想する。
私はいつも、「ここ」ではない場所にあこがれる。

2009.04.12